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時が止まってしまったようだ。絶えず流れて行く人も心も体も、全部が俺を置いて流れてく。
ただただ俺は眺めていた。
音の消えたこの世界で1人、俺はただ世界が回っていくのを眺めていた。目に映るもの全てを壊してしまいたい衝動と、俺に触れるもの全てに牙を立てたい衝動と。
振り降ろした拳に鈍い痛みを感じる度に、空っぽになってしまった心の中に直接伝わってくるお前の声。
そしてまたノイズが俺の世界を埋めていく、あっという間に雑音の波に呑まれて何も聞こえなくなる。
見上げる空は毎日青くて。
俺に無関心な白い雲は、風の思うがままに流され視界から消えていく。
見上げる空は今日もやっぱり青くて。
あの清純な真っ青を綺麗にさばけたら。
無機質な光沢を携えたセロファンに、プツンとメスの刃先を差し入れて、ツッと真っすぐ割くように。
あの澄んだ青を切り裂いたなら、中からお前がひっこり出てくるようで。
俺は今日も届くはずもない空にこの手を伸ばす。
伸ばし続ける――――。
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