MEMORY

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丁度、今夜のような状況だった。違うのは女の横に男がいた事。この人らチョロチョロ逃げ回る男相手にちょっとした悪戯を仕掛けて。 詳しく話すのは憚られるので端折る。 まぁその悪戯の結果、家一軒全焼、死人1名、回収額3万という最悪の先週があったわけで。 クソ野郎に怒られたくねぇんすね、わかります。クソ野郎こと若様。怒らすとおっかねぇもんねアイツ。静かに怒るタイプ、俺もキライ。 「聞かれたら報告します、普通に。俺に聞かせないように頑張って下さい。あ、でも。あと2件1時間で終わらせてくれたら一切何も言わねぇって約束してもいいっすよ。きっちり今から1時間、どすか?」 リアシートから若干体乗り出し気味で俺の顔を覗きこんでたマッサンが、ボスッと座席に身を沈めた。 「早く出してくださいよ、あと59分」 「交渉成立ですね、じゃ、安全運転でぶっ飛ばします」 「中華はー?じゃマックでいっす。あ、モスいく?腹減ったー」 弟分の太ももを豪快に蹴り倒して、マッサンはこの日だんまりを決め込んだ。彼、お仕事モード入りました。頼りになります兄貴。 帰宅時間が明確に見えて俺の機嫌も上々。さて、もう一仕事してもらいましょうか。 待機時間に“1:00までには戻る”と即アイツに連絡を入れたのは言うまでもない。
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