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結局どうなの
片手で上下に扱きながらもう片方の手の親指で先の丸みを撫でまわす。すると穴から漏れ出したものでぬちゃぬちゃという水音が耳を犯す。いてもたっても堪らない衝動をどうにかしたくて体を丸め益々手の動きは激しくする。
「あ……うう……ん、あっ……あ」
「櫂のばか、人の部屋だぞっ。ちったあ、遠慮しろ」
いつの間に起きたのか貫太郎に頭をばしりと叩かれたのと俺がイったのとはほぼ同時だった。
「あ……貫太郎起きた?」
「起きた、じゃねえだろ。ため息ついたり、寝返り打ちまくったり……んで、結局これかよ。あんた疲れてないの?」
「いや……これはきっと疲れなんとかってやつで……」
「なんだと?」
あきれ返った貫太郎の声がして枕が顔に飛んできた。
「朝早いんだからな。速攻で寝ないとマジ招魂してやる」
「ええ? このまんま寝るの?」
いや無理だって。
「貫太郎」
「んだよっ」
床から見上げた貫太郎の腕を俺は掴んで持ち上げる。
「何も残らないなら、残らなくていいから。俺のを触って」
驚いた貫太郎の腕を、開けたままだった自分のモノに近づけるとすごい力で反対に引っ張られ、俺はベッドから落ちて貫太郎の上に落ちてしまった。
「痛ててて……」
「痛ててじゃない。どういうつもりだ、櫂?」
「なあ、貫太郎。男は……受け付けないか?」
キスのこともあってなんとなく大丈夫かと思っていたけど、よく考えれば男が男を好きになるって普通じゃない。
自分の思いに夢中でそんなことも思い至らなかった。現世じゃあんなに気を使ってたっていうのに。
「貫太郎は俺とキスした時、気持ち悪かった?」
「あのさ、男だからとか女だからとか……じゃなくて。俺のスタンスって言うか……おい、あんたさっきの俺の言葉聞いてた?」
「聞いてたけど、俺は貫太郎のこと好きになったかも」
俺の告白に貫太郎は目をぎゅっと瞑って頭を床にぶつけるように落とした。
「好きになったかも、じゃねえ……めんどくさい事言いやがってっ」
「嫌か?」
「うるせえっ」
目を開けて体を起した貫太郎が俺の頭を再びばこんとはたく。
「そういうの、考えたくない」
「え? どういうこと?」
――って、
結局どうなのと貫太郎を見降ろした。
「どういう……って」
急に口べたになったのか、貫太郎はまたもや黙り込む。
「何? 何? 何がめんどくさいの? もしかして俺? 俺のことめんどくさい?」
しつこく聞く俺の頬を貫太郎が力一杯つねってきた。
「痛いってっ、暴力反対っ。だって貫太郎がはっきり言わないから。さっきのどういう……」
「煩いって。もう……あんた黙れ、やってやるから」
そう言って貫太郎が俺の口を唇で塞いだ。さっきの俺のをなぞるみたいにそっと舌を差し入れてくる。
――嘘……。
お返しとばかりに口内を舌で思うさま探られる。最初は様子を伺う感じだったのに、途中から気持ち良くてわけが分らなくなってくる。だいたい二回目なのになんでこんなに上手いんだよ、このエロ十五歳っ。
「ん……あっ…はぁ……っ」
唇が離れて思わず艶っぽい声を漏らしてしまった。その直後、貫太郎の反応が気になってしまう。
男のエロ声なんてノーマルのやつには気色悪いに尽きるだろう。俺ときたら……快楽にめっぽう弱いのだ。
でも今はだめだ。雄を意識させちゃったらアウトだよな。今のでがくんと空気が代わってたらどうしよう。気色悪がってないかと貫太郎を目だけで追うと、当人は目をまん丸にしていた。
俺、やっちまった?
だよな、多感な中学生(……から本当は何年も経ってるらしいけど)相手にいい大人の男がすり寄っていったら普通はがちでドン引きだよ。
どうする? いやもう謝っちまおう、それしかない。
「ご、ごめん……だって貫太郎上手すぎ。い、いやあのさ……俺の声、気持ち悪かった? なるべく声上げないようにするから……ほんと、絶対」
焦って言い訳とか、約束とか。もうこの雰囲気を壊したく無くて色々言いつのっていた俺の両手が掴まれてぐるりと体勢を入れ替えられた。
「櫂、黙れって」
「か、かん……?」
「うるさい」
天地がひっくり返った。あんまりにも勢いがついて床に背中を打ちつけてしまい、痛いんだけどそれより驚きのほうが大きかった。
なんなのと思う俺の口が再び塞がれて吸われて酸素不足と快感でくらくらした。次に首筋に熱さを感じたら鎖骨付近を甘噛みされて声を出しそうになる。
手で口を覆いたいのに、両手は頭の横に貫太郎の手で押さえつけられていてどうにも動かない。体格は同じくらいなのに筋肉量が圧倒的に違うのか、力を入れてもびくともしなかった。
「うう……うん……」
経験豊富な俺がリードするはずだったのに。必死で唇を噛んで声を堪えていたのは俺のほうで。
「櫂、止めろ、血が」
俺の口に貫太郎が指をぐいぐい突っ込んできた。それが結構深くて俺は吐気をもようして貫太郎の前でげえげえやってしまった。
何にも食べてないせいなのか、体が変わったせいなのか、口からは何も出てこなかったけど。これじゃあ声出すのと同じ。いや、もっと悪い。
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