消えた妖精

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アデンは泣いていました。 ずっと一緒にいた緑の妖精が忽然と消えてしまったのです。 アデンはこの星中を探し回りましたが、その姿はありません。 そして魂も探ったのですが、緑の妖精グラスの魂もなかったのです。 アデンは途方にくれて、緑濃い芝生に寝転びました。 アデンはこの星の創造神で、生まれてすぐに星を創り、たまたま出会った緑の妖精グラスを雇って家来にしたのです。 ふたりは楽しみながら緑のオーラを流して、この星の活性化を行いました。 星中が緑と青だけになりました。 アデンもグラスも顔を見合わせて喜んだのです。 楽しい日々を過ごしていたのですが、ある朝、グラスがいないことをアデンは気づき、探し回ったのです。 「グラス、さびしいようー…」とアデンは言って、涙を流しました。 緑は深く、水も澄んでいます。 このまま数百万年放置しておけば、まずは昆虫が生まれ、動物も生まれることでしょう。 ですがアデンにとって、グラスはかけがえのない友達でもあるのです。 アデンは泣きながら眠るのですが、翌朝起きるとすぐにグラスを探す旅に出ます。 アデンは空を飛べるので、簡単に星中を回れます。 そんなある日、アデンは魂の存在を確認しました。 それはグラスの魂だったのです。 「グラスッ!!」とアデンは叫んで、その魂の場所に急行しました。 その場所は、アデンとグラスが造ったふたりの家でした。 「えー… ここに…」とアデンは言って、グラスを探しました。 「ええええええっ?!」とアデンは大きな叫び声を上げたのです。 「あはは、ゴメンね、ご主人様っ!!」とグラスは言いました。 グラスは大地に根を生やしたごく普通の草になっていたのです。 「あ、生まれるからね」とグラスが言うと、草が左右に分かれて地面から緑色の体のグラスが出てきました。 「…ああ、よかったよおー…」と言ってアデンは泣きました。 「きちんと言っておくべきだったよね。  僕たち緑の妖精は、大地のエネルギーを食べる必要があるだ。  その間だけ、ボクは死んじゃったようになっちゃうんだよ。  でも、この星は肥えてるから、  生まれ代わりをする必要はもうないって思うんだ」 アデンはグラスの話しを聞きながら、何度も何度もうなづいています。 ふたりはずっと仲良く、星が壊れてしまうまでの100億年間、幸せに暮らしました。 ―― おわり ――
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