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もう。
にいさまったら、また…
さっきあんなに激しく睦み合ったばかりなのに。
悪戯な手が再びスルリと私の裾の中を探る。彼は、悪戯っぽく笑った。
「言ったろ?月は何度でも再生するものだって…黎、愛してる」
「もう、にいさまったら。そんなこと言ったって…あ、ああ…」
月明かりの下、恋人達は幾度も愛し合い、その行為は際限を知らない。
彼は、すでに知り尽くした私の敏感な場所に、着実に刺激を蓄えてゆく。
すると、すっかり愛撫に慣らされてしまった私の身体は、意思を介さず淫らに濡れ、賤しい律動を始める。
「黎、冬が来るまでに、皇帝にお願いしよう。君を正式に娶ることを」
「え。で、でも!
貴方様はあれほど、許嫁の姫様との婚礼を嫌がって…あ、ああっ」
「…いいさ。凜麗のことは。
それが、黎を僕のものにできる代償ならば、耐えてみせるよ。
今夜だって、これから君を帰すと思うと、胸が張り裂けそうなのだから」
「にいさま…私…私も…」
「黎の翡翠色の瞳。
月光を受けると宝石のように輝くのだな」
ハラリと落ちた涙の滴を甘露のように舐め取った。
私が目を閉じたのを合図に、彼はゆっくりと、私の身体に己を沈めてゆくのだった。
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