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たっぷりと時間をかけ、愛し合った後。
私達は寄り添い合い、草の上に身を横たえていた。
「寒いだろ、もっとこっちへおいで」
「ううん。これくらいがちょうどいいの」
私はもともと、寒い地方の出身なのだ。
夜露を含んだ草の上は、余熱を残した身体にかえって心地よい。
私は、何の気なしにお月様へと手を伸ばした。今夜の月は、少し噛ったお饅頭のような半月だ。
それを見て、私はふと呟いた。
「ねえ、蒼大哥?
私の国ではね…お月様はとても嫌われ者なの。
だって、今はまあるい月は満月になって、だんだんやせ細って最後にはなくなってしまうでしょ?いつでも丸いお日さまは完璧で美しいけど、ころころと日によって形を変える月は、不安定で不吉なものだって」
「へえ…」
「でもね、私はお日さまよりも、お月さまの方が好き。
だって_____いくら丸くて美しくても、その光は焼かれるほど眩しすぎるわ。
お月様は、少しどこか欠けていても、白くって優しい光を投げてくれるもの」
あのギラギラまぶしい夏の日に、私達の街を焼き尽くした帝国が太陽ならば、薄暗い荒れ家に現れて、私を救ってくれた優しいにいさまは、お月様。
伸ばした腕に月光を浴びせながら言うと、にいさまはクスッと笑った。
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