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ロクサーヌ 第二部 ルーム・ノヴァスの伝説 (その 1)
私オリガ・スベトラーナは、『ルーム・ノヴァス』と我々が名付けた惑星に残されたタブレットの記録を解析している。
「 生徒諸君 『我らの大地』ジームラ・ウントへようこそ。
この書は、諸君がやがて伝説の青い星々を探して、宇宙へ旅立つために書かれたものである。
今年がジームラ・ウントがこの世界を統一して100年になるのを記念してこの書は編纂された。
初めに、ジームラ・ウントがなぜ、どのようにしてこの世界を支配するに至ったのか、その歴史を学ぶ。
歴史は、古代編が1500年、中世編が1000年、近現代編が1000年である。
最後に我らの創造主であるペーシュウォーダ『先に創られたもの』の伝説を学ぶ。
尚この書はバーチャルヴィジョンとして作られている。
生徒諸君はコネクターを自身のイヤホンジャックにつないで利用することを薦める。
序章
太初、天上より巨大な火球が降り注ぎ、海は蒸発し、空はその為に曇り、やがて雨が降り続いた。我らの住む陸地は大洪水の為、失われた。
我らの祖先は、7つの都市に分かれ、山上に避難した。
大洪水が引いた後、祖先は平地の都市に降りてきたのだが、都市のエネルギー源である融合炉は破壊されていた。
その為、祖先は火の水と、火の石を求めて、世界をさまようことになった。
大地から新しいエネルギーを得ようとしたのである。」
このようにして、古代編が始まった。
このタブレットには古代の2進法言語が記されている。
そしてバーチャルヴィジョンとしての利用法を薦めていることから、彼らは高度なデジタル文明を築いていたものと思われる。
しかし、約5000年に及ぶ歴史を解読するのは困難である。
アラン教授の指示は、2週間でこの情報を解読し宇宙シミュレーターに落とし込むようにすることだ。
その為に必要な情報を優先して解読するように、とある。
必要な情報とは何か?
私はこの書の目的が
『ルーム・ノヴァスの人々が宇宙へ旅立つために書かれた』
という点が気にかかっている。
単に宇宙へ旅立つためであれば、その為の技術的知識が優先されるはずだ。
しかし、この書は太初の歴史から始まっている。何故なのか?
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