ルーム・ノヴァスの伝説 (その 4)

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ルーム・ノヴァスの伝説 (その 4)

タブレットの解読の4日目 「文明圏は拡大し、都市の数も増えた。初め7つだったのが今は35の都市を数えるほどになった。  その中で、ジームラ・ウントは3番目の勢力を保っていた。 1番大きな都市はメサスと言い、東方の辺境から起こった都市だが、彼らは武力に秀で近隣の諸都市を従え、同盟を結んでいた。  都市の政治は、初めその住民たちによる合議制で運営されていたのだが、戦争が繰り返すうちに次第に王による専制に変化した。 軍事的には垂直統合した組織による政体の方が強かったからである。  メサスの同盟都市は13を数えた。その中で、メサスは次第に専制的な力を持つに至った。 同盟は、帝国へと進化したのである。  初代の帝王はティムルタシュと言い、元は神官に過ぎなかったのだが、その卓越した知識と予言の能力によって人々を従えることが出来た。  度重なる戦争を勝利に導いた功績により、時の王であったメサス3世によって、王の位を譲位され帝王を宣言したのである。  ティムルタシュは古い信仰を改革し、唯一神ハジュによって世界が統一されると予言した。 ハジュは元来はメサスの都市神であったのだが、戦いを通して唯一神へと進化したのである。  唯一神ハジュの信仰に帰依したものはメサスの市民としての権利が得られ、エネルギーを優先して利用できた。 メサス配下の同盟諸都市は、その固有の信仰を保証されたのだが、エネルギーの内10分の1をメサスに提供する義務を負った。 メサスに従えば、安全と信仰の自由をは保証されるが、2級市民としてエネルギーの貢納を迫られたのだ。 そこで、生徒諸君に問います。 あなたは、唯一神ハジュに改宗してメサス市民としての権利を得ますか? 或いは、メサスに従って10分の1のエネルギーを納め、安全と信仰を守りますか? それとも戦いますか? 条件 ジームラ・ウントの同盟都市は6つである。」 今度は3択であった。  私は、迷い、簡単には答えを出せなかった。 何故なら、今までよりも戦う相手が強力すぎるからだ。 メサスの勢力は13の諸都市を従え、ジームラ・ウントの倍以上である。 そもそも、この戦争を私が決定してよいのか? 結果によってはジームラ・ウントの破滅を招くのである。
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