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第五楽章 -無依白鳥歌-
落
荷籠が落ちた
恰も私が赤頭巾であるかのように
嗚呼,永遠回帰
狩人は堕ちた 永久の失墜
なら済生者は何方?
「運命愛
唖麗,そう」
『其許か』
「其許よ」
『其其 嘘吐き』
「唖麗,そう」
『其其 嘯き』
露命は堕ちた 虚無の到来
娘が遺すは 何の調べ
さぁ 花瞼をお開け
然れば次第に解るだろう
何を畏れる事が在る?
真は考え及んだ癖に
『狩人は堕ちた
さて 御前はどうする』
「どうもしないわ」
『何故』
「是が私の運命でしょう
嗚呼神よ 仰せの儘に」
『狩人が堕ちた故を
知曉したくはないのか』
「今のは偽言よ
何故なら私
神ぞ神を信じていないもの」
『助かりたくはないのか』
「まぁ 所詮偽言
どうでも良いわ」
未だ幼き娘の瞳
そもや一体全体 奇奇妙妙
奇しくも涅白涅白 何方も映さず
幼心地は何処へやら
『其の身其の儘
真に良いのか』
「落ちるも落ちずも
どうでも良いわ」
『無心無愛に無げの答
其故 御前は成り損なった』
「幾度云わせる気」
『痴れ人め』
「どうでも良いわ」
あれよ随意に消え尽く娘
今今なっては形姿無し
消え方 娘は確かに云った
「御婆さんの口は如何して
そんなに大きいの?」
娘が遺した初期の「?」
冀わくは娘に巡神の加護を
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