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第六楽章 -痴愚発寿歌-
落
柳髮が垂れた
恰も私が我邦の萵苣であるかのように
嗚呼,永遠回帰
迷霧は消えた 永久の喪失
なら向かう先は何方?
「運命愛?
莫迦らしい」
『何故 そう思う』
「運命とは 吾が身で
切り広くものよ」
『舌先三寸な娘だ』
「それはどうかしら」
『如何なる意義だ?』
「待ち尽くすのは
もう 厭」
久遠は堕ちた 虚無の到来
娘が焦がるは 何の調べ
さぁ 待宵をお続け
然れば了了解るだろう
何を畏れる事が在る?
待つうちが花と云うではないか
「待てど唄えど 何も起きない」
『希望は明日に
明日の希望は明後日に』
「戯言ね」
『そう云うな』
「それに見たいの 外の世界」
色彩映りあう花色衣
天が恵むは日の光明
細小拳を高く揚げ 娘は語る夢話
時は誰時 否否否
娘に宿る紅燭は消せない
『美美しい髪だ』
「苦爪楽髪
そういう事よ」
『成程
長き闇路になるだろう』
「消えない闇は無い
果てない路は無い」
『失せない人は居ないのか?』
「、」
「ならもう行くわ」
迷霧は消えた 否否否
娘に宿る霜髪は失せない
『痴れ人め』
塔中の娘は只の娘と化す
向かう先は 夢の直路 蒼空の彼方
霜髪に曳かれつつ
霜髪に惹かれつつ
冀わくは娘に巡神の加護を
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