第一楽章 -涅色似非歌-

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第一楽章 -涅色似非歌-

落 林檎が落ちた 恰も私が白雪姫であるかのように 嗚呼,永遠回帰 神は堕ちた 永久の失墜 なら天子は何方? 「運命愛? 口を慎みなさい! 貴方は私を御存知で?」 『無意義な質問だ』 「御免なさい」 『御前,名は』 「分からないわ」 『無意義な娘だ』 「誰しも有意義よ」 普遍者は墜ちた 虚無の到来 娘が唄うは 何の調べ さぁ 林檎をお齧り 然れば解るだろう 何を畏れる事が在る? 異に言は当たり前ではないか 何を畏れる者が生る? 異に殊が当たり前ではないか 『食べれば 強者』 「煩い」 『食べねば 弱者』 「煩い」 月華が照らす涅色の瞳 其処に映るは冀望の道導 『食べぬのか』 「えぇ」 『痴れ人め』 「構わないわ さようなら」 踵を廻らす娘 背後で戯る黒き影 冀わくは娘に 巡神の加護を
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