16-寂寥

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俺が悪いとはいえ、正直、もう何十回繰り返した同じやり取りに辟易する。 俺の薄っすら滲み出て来た涙も、感謝も、思い出すもの全てが飛んでいくような質問だ。 最後と言っているが、納得いかないからこんな時にも言葉に出てくるのだろう。 何か確信や心に思う所があるなら、それを言って欲しい。 その質問の答えは決まっているのだから。 いっそ本当の事をぶちまけたい気分にすらなってくるが、そこまで馬鹿じゃない。 同じ返答をして、本当だからこれ以上聞かれても答えようが無いんだと付け加えておいた。 これも何度も伝えた事だが…。 一つの不審が、不信感を抱かせ、そして疑心暗鬼になる。 そういう自分になりたくないと、彼女が嫌がったが、これをずっと続けられたら確かにこっちも辛い。
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