16-寂寥

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俺は承諾してない。 幾ら考えても、愛する家族と別れるなんて考えられない。 こんな事になってやっと気づいた事が沢山あって、咲子に甘え過ぎていたと自分の不甲斐なさと後悔、感謝の気持ちをぶつけた。 しかし、彼女の閉ざされた心には何も届かないようで、私の考えている希望の時期は…と話し始める。 そんな話しをしたいんじゃ無いと半ば怒りながら遮ると、今は私の話しを聞いて欲しい…そう言った。 そう、俺は恐らく聞いてもらうのが当たり前で、今まで彼女の声に耳をちゃんと傾けた事が無かったのかもしれない…。 遮るのをやめ、彼女の声を聞いた。 通学時間も名字の問題もあるし、沙穂の高校、将輝の中学卒業後にしたいと。 できたら2人共に親権を貰いたいけど、どちらについていくかは本人達の意思に任せる。 あと2年半、ちょうど俺が居ないから、子供達も家族全員揃って暮らさない生活に慣れて、最小限の寂しさで受け入れられるかと思うとも言っていた。
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