16-寂寥

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夜は、家族4人で食卓を囲んだ。 咲子は解決したからか、子供達の手前だからか、目元に優しさが戻った穏やかな表情を見せている。 この食卓を皆で囲めるのはあと何回だろうか…。 咲子の食事の美味しさも、子供達の笑顔も、全てが有難く、愛おしくて、貴重な物だ。 そういう気持ちを何故忘れてしまうのだろう…いや、忘れるというよりも、その前の段階だ。 何故もっと大切に思うことすらしてこなかったんだろう…失くしてから気づいても遅い。 感謝の気持ちも足りなさ過ぎた。 ついこの瞬間を、この味を噛み締めるように美味しい、美味しいと、将輝にお母さんみたいに料理上手な人と結婚した方がいいぞなんて言葉が出てしまう。 「なんか今日大袈裟じゃない? 先週も帰って来てたし、何かお母さんに頼み事でもあるの?」 「将輝じゃないんだから、変な事言うなよ」 確かにと沙穂は笑い、指摘通りで俺も苦笑してしまった。
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