16-寂寥

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「コンビニ飯は不味いぞ。美味しいのは最初だけで、すぐ飽きてくる。 お母さんの食事も、お前たちと食べるから余計に美味しいんだろうな」 「やっぱり、なんか台詞がクサイ〜気持ち悪い〜」 台詞ってなんだ、気持ち悪いって…俺が肩を落とすと、咲子と将輝が笑う。 これが、あと何回囲めるか分からない食卓なのか?こんなに普通に笑い合えるのに…。 夜、咲子に気持ちを変えて欲しいために言うんじゃなくて、今の気持ち素直に伝えたいと話した。 離婚が決まるまで気づけなかった、大切な瞬間が沢山あったことを…。 咲子は静かに途中で水を差すようなことを言うことなく、最後まで俺の話を聴いていた。 「こうなってからで確かに皮肉だけど、今までの時間が、大切なものだったと思って貰えて素直に嬉しい」 そして、咲子はこれで聞くのは最後にするからと言って、何にお金を使ったのか本当の事を教えて欲しいと、またあの質問を口にした。
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