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カール「魔法女子は、エグバートのブリタニア帰還のための準備をすること。ブリタニアの諸侯の調略・渡海のための船の調達などだ」
こーちゃん「具体的な渡航の時期は?」
カール「この秋だ」
こーちゃん「それはいくらなんでも時間がなさすぎます。王子の旧領ウェセックスの貴族たちの調略だけでも年内いっぱいはかかります」
カール「マーシアが混乱している今が好機だ。我がフランク王国の金や物をどれだけ費やしても構わん。時をかければマーシアが立ち直る。それでは時期を失する」
こーちゃん「しかし」
カール「そこは魔法でなんとかせい。そのための魔法女子であろうが」
と足早に立ち去っていく。
取り残されるこーちゃん。
10カンタベリー寺院・前の広場
市が立っている。
露店を見ながら歩いている平服姿のレッドウルフ。
寺院の門前にテーブルを置いて座っているミサトが目に入る。
ミサト、ローブ姿である。
テーブルの上の金貨や銀貨など。
レッドウルフ「ほう。このブリタニアではなかなかお目にかかれない金貨があるのう。両替商をしているのか」
ミサト「(頷く)」
レッドウルフ「ローマの滅亡以降、このヨーロッパの金貨・銀貨は価値を下げたが、オファ王が鋳らせた銀貨は良質で評判だったようだの」
ミサト「そのオファ王の銀貨も、当の王が戦死してしまったため、今では石同然の価格まで下落したとか」
レッドウルフ「ほう、それは勿体ないな。あれだけ銀がたっぷり入っているのにな」
ミサト「庶民も貴族も王も、まだまだ、このヨーロッパの人々は、お金の使い方というものをご存じない。使い方によっては、この世界を支配できるかもしれないものなのに」
レッドウルフ「今にカール大帝が持ち込むフランク王国の金貨が、このブリタニアを支配するのであろうかな(笑う)」
ミサト「(きっ、とレッドウルフを見て)」
レッドウルフ「カール大帝の金貨が来る前に、オファ王の金貨・銀貨を集めてしまうおうかの?集めた金は、高い相場で、大帝の金貨と交換させての」
ミサト「(聞いている)」
レッドウルフ「どうだ?わしのためにオファ王の金銀を集められるか?」
ミサト「やってできぬことはない」
レッドウルフ「では、頼もう(と立ち去ろうとする)」
ミサト「他に欲しいものはないか?例えば義理の弟の消息とか」
レッドウルフ「このケントは、大陸の情報が最初にこの島国に入ってくる窓口だ。噂好きな大陸帰りが、エグバートの東方における武勇伝を、こちらが頼まなくとも教えてくれるわ」
ミサト「では、女はどうか?とびきり美しい女がいるが」
レッドウルフ「そこまでいうのであれば、見てやってもよい」
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