はるかの空に月明かりがあるという

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「人間は月まで来たんですよね。いつか僕らのところにも来るんでしょうか?」 「来るかもしれないね。でもずっと先だよ。私は生きてられるかな?」 「長生きしてください。僕の地球がいなくなったら、彗星たちも悲しみます」 「私の月がそう言うならがんばらないとな」 それからまた長い時間が過ぎましたが、人間はまだ来ることはできないようでした。 年寄りの月は、そろそろかなと自分の異変に気付いていました。 近くを通る彗星たちに、そっと声をかけます。 「私もそろそろ、おしまいだ。私が光になっても私の月と仲良くしてほしい」 彗星たちは、けらけらと笑いました。 「友達と仲良くするのにお願いが必要か?俺らが光になるまで、あんたの月とは友達だよ」 年寄りの星は、ホッと胸を撫で下ろします。 若い星は黙って聞いていました。 年寄りの星の肌はだんだんと赤くなります、 「私はもうすぐ死ぬ。はるかの向こうの宇宙では私の光が見えるかも知れないが、私の月には見ることはできないだろう。彗星たちの土産話で私の光を気にしてくれ。君のおかけで楽しかったよ」 年寄りの星は、若い星の横で光となります。 若い星は黙って穏やかに光っていました。 いつか、その日が来るのを教えてもらっていたから。 若い星の穏やかな光は涙だったのかもしれません。 ですが寂しくはありません。 若い星が一人になったあとも彗星たちは、若い星に声をかけます。
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