明治恋物語

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「あ、雨だ」  思い出に浸りながら、煙草の灰を灰皿に軽く落とす。  段々と外が暗くなったのを知ったのは、雨音が聞こえてきたからだ。屋根に当たる雨の水滴。  布団に手を付いて反動で立ち上がり、白熱球で部屋に明かりを灯した。  外が気になり、側柱の外にある外縁へ歩き始める。外縁から外を見る限り、まだ小降りだった。  少ない雨が降り落ちながら、ある事を心配し出した。  雨が降ると道はぬかるみの泥だらけで歩きづらい。  先生なら、雨以外のも服に付けて帰って来そうだ。  全く僕が居ないと駄目なんだから・・・・・・。  有作は先生がほっとけない。ドジな部分があるのを知っているからだ。
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