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再び、明治33年8月。
そんな昔の記憶を辿りながら、有作は外着から寝間着に着替えた。
着慣れない西洋服だった為、着慣れた半袖の着物に変えたのだ。
もし先生が来たら、また着替えればいい。にしてもやはり和服は落ち着く。
寝る時に使う着物だけれど、通気性の良さと動きやすさで、日中も着ている。
彩度を落として緑色を整える半袖の着物。上下に合わせた色合いで、着物の腕の部分は太い糸で止めている。
左右を見渡しても、畳で敷き詰めた空間。寝る時に使う蚊帳を取り付けている。
蚊帳のお陰で蚊などの虫除けになり、とても寝やすい。
他の部屋から紙巻き煙草と灰皿、マッチ箱を持ってきた。
それらを手で持ったまま、蚊帳の中へと入る。
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