7章 満たされて

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 愛月が間近まで傍に来た。と思ったら俺の頬を叩く。大して痛くはなかったが驚いてしまった。 「分かった」  背を向けて帰ろうとする。 「おい」  俺の声で立ち止まったのかと思ったら、バッグの中から包みを取り出した。 「これを渡したかったの」  胸に押し付けられた包みを開けてみる。中には花びらを閉じ込めたキーホルダーが入っていた。  これは前に俺が愛月にプレゼントしたものと同じだ。でも花は違う。 「この花びらは?」 「ポピーの花びらだよ」  愛月がスマホを取り出し画面をいじっている。と思ったら画面をこちらに見せた。
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