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プロローグ
『YESと言ってくれ』
そう言って俺は、六年ぶりに愛月を抱いた。
――――六年前
「別れたいてどういうことだ?」
思わず大きな声がでてしまった。
平日のカフェテリア。昼前なのでまだ客は少なかった。幸い俺たちを気にしたものはいない。
「優陽は悪くないの」
向かいに座っている愛月は俯いたままだ。手持ち無沙汰なのか、ストローでグラスの中をかき回している。もうこれ以上ここにいたくはないのかもしれない。
しかし俺は納得がいかず、席を立つ気はなかった。けど何度理由を聞いてみても、ごめんなさいと謝るばかり。
愛月の顔を見れば今にも泣きそうだ。
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