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「そっちの方を行くと危ないぞー!」
(嗚呼~、まだ着いてくるのか。しつこい奴だな)
数十メートル以上を歩いても、大智以外のサンダルで砂場を踏む音が止まない。
まだ後ろに居るのだろうか、息を切らし太陽に打たれながら歩く。
男の言葉に耳を傾けない。着いてこなくなるまで歩き続けるつもりだった。
「危ないっ!」
男が先に声を上げるけれども、大智には気付かなかった。
崖っぷちだという事に。
自分自身が足を滑らせ、身体が海に投げ出される。
男から必死に離れようと考えて、歩いていたのだから、気づく筈もない。
「うわぁあああーーー」
そう言い訳を並べながら、一気に海の下へと転落した。
ドバッ! かなりの高さから海の上に身体が激突する。腹に痛みを感じながら、海中に居る事を知った。
両手で水をかいて、足をばたつかせる。
太陽の光で反射した、黄色に輝く海の上まで辿り着こうともぎまくった。
(死ぬ、死ぬ! 息が・・・・・・このままじゃ死んでしまう)
死についての恐怖を更に焦られてしまい、息が切れた。
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