2 バスケ部とモテ対決

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「ガハハハ。修羅場だとさ?お前も気を付けろよ」 話を聞いていた和希は彼女を7人用意したロミオの顎を優しく撫でた。 「そこで真田さんと相談したんだけど、お互いカップルを一組出して、親密さをクイズで勝負してもらおうと思うんだ」 「一組か……」 「どうですか夏川先輩?その方が揉めないと思うんですけど。ねえ、みんな?」 サッカー部員達は微妙にう、うんと頷いた。 「ありがとう。あ、人気対決はそのままインスタの「いいね❤」の数で競うから。じゃ夏川。今から10分後にクイズの教室で逢おう!」 そういって心が晴れた春山主将はバスケ部の控室へスキップで駆けて行った。美咲はこれは代表カップルに任せて休憩させてもらおうと思っていた。 「……ところで美咲。誰に代表をさせるつもりなの?」 腰に手を置いた尚人はぶうと怒りながら、美咲を見つめていた。 「え?誰でもいいんじゃないの。ロミオは?」 「……僕は女の子とは長くても3カ月しか付き合ったこと無いよ?」 「へ?じゃ、和希さんはずっと付き合っていた……」 「バカ!美咲?」 純一は慌てて美咲の口を塞いだ。 「お前知らなかったのか?あいつ、この前振らればかりなんだよ!あ、行っちまった……。俺、様子見てくる」 そういって二人は教室から出て行った。この後ろ姿を見ながら、尚人が怒りの目で美咲に喰いついた。 「あのさ。他は今回無理やり頼んでなったもらった彼女だぞ?お互いの事なんか、上の名前しか知らないんだぞ!」 「ええ?」 尚人の声に優作と晴彦もこくと頷いた。この絶体絶命の状況で顎に手を当て思案していた夏川がぼそと答えた。 「これは……真田が誰かの彼女になればいいのではないか?」 真剣に呟く夏川に一同の視線が集まった。 「……透がそれを言うの?」 びっくり顔のロミオに美咲もびっくりしていた。 「ああ。春山の提案は、臨時で作った彼女達の気持ちを考慮すると意味だろう。真田はその点、理解があるから心に傷など付かないと思ったんだが」 「そういう意味ですか?。ああ。驚いた……」 そんな美咲の声を無視して男子達は話を進めた。 「ね、もしかしてさ。責任持って透が美咲と組むとか言うんじゃないの?」 ロミオの軽口に真顔の夏川は首を横に振った。 「いや。俺よりも付き合いの長いロミオが適任じゃないか?」 「……全く、透は勝つ事しか考えて無いよね?じゃ、僕はパス!尚人の方が良いでしょう?幼馴染だもの?」 「僕ですか?でも美咲は僕の事全然わかってないですよ。優作さんは?あれ、晴彦さんも居ない……」 これを見てロミオは腹を抱えて笑いだした。 「ハハハ。あいつららとっくに逃げたし。さあ。最後に残ったのは君だけだ。代表、よろしく!」 そういってロミオは彼の背をバンと叩いた。それを見て夏川もうんと頷き目を輝かせた。 「そうだな!今日は出番が無かったし。うちのセンターバッグ、頼んだぞ」 ロミオと夏川に肩を叩かれた男は、ふうと息を吐いた。 「……キャプテンの命令なら仕方ない、行くぞ、美咲……」 「うわ?何するの」 陽司は美咲をお姫様抱っこして歩きだした。 「……俺達は今、カップルだからな。あ、空き缶を下げるんだっけ?」 「空き缶は無いが、この空ペットボトルでどうだ?」 「夏川先輩?冗談を真に受けないで下さい!陽司さん。降ろして」 しかし。力が強くてびくともしなかった。これを見てロミオがスススと二人に寄って来た。 「ね。陽司。僕に代わって?」 「ロミオ……お前が美咲と組めっていったんだぞ?」 「違うよ。僕を陽司に抱いてほしいんだ」 「……後でしてやるよ」 「うん❤」 「いいから?私を降ろして!」 サッカー部はぎゃあぎゃあ大騒ぎしながら、クイズの教室へ入った。 つづく <2019・9・18>
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