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恥なんていらない。お腹いっぱいになって心を満たし今この身をもって重石を取って、この小さな勇気が私の身を焦がす。
( ああ、私は何にでもなれる気がする!
信じられないけどそんな気がしたんだ。それでも心配だった。だって一度も出来なかったから。)
富士子ちゃんが森の中へ入ったと連絡があった。私は彼女を見て彼女の心を見た。信じられないくらいに恐ろしい目に合い続けた彼女の心は綺麗で透明でどこまでも純情でしかなかった。凄い痛みを感じた。死にたくなるくらいだ。富士子ちゃんも蝶の夢を見ていた。彼女はここまでと悟っている。彼女の小さな勇気が私の身を焦がした。月明かりの下で呼吸を整えて一歩踏み出した。
(みんなが彼女を助けてって言うのがわかる。私なら出来る。私にしか出来ない。エイエイオー!)
私は彼女の視界に自然と入った。
富士子ちゃんが私を確認した。
( 私にソックリ。誰?人がいたかな?)
「 富士子ちゃん、凄く痛いね。歯が痛いし口の中がめちゃくちゃに切れてる。手の指も足の指も折れてるね。眠れないくらい痛いね。病院へ行けば良いよ。人間様なんだから。お父さんとお母さんにやられたって言えばいいんだよ。本当の事を言っていいんだよ。」
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