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(——あぁ、そんな顔もできるのか)
唐突にそんなことを思った。
子供らしからぬ発言と表情、そして行動。何にも興味を持ってなさそうで執着もなさそうなこの少女にも、必死で守り通したいものがあるらしい。
かさかさの唇をなめ、息を吐き出す。目を閉じた。
眼裏に浮かぶのはあいつの姿だ。少女と重ねた、正体も分からないあの女。
(こいつは、違う)
あいつとは違う。
あいつは、決してこんな表情をしない。
息を吸い込む。息苦しい感覚が、ようやくほぐれた気がした。
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