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「ん…ん?」
朝目が覚めると右膝あたりがツキツキと痛む。
「どっかぶつけたかな?」
始めは寝ている間にぶつけたか、遊びに行ってぶつけたかなくらいに思っていました。
それくらいの痛みでしたし。
目が覚めてしまったしまだ暑さが残る時期、扇風機にあたりながら携帯電話をいじっていました。
まだアンテナがあってパカパカする携帯電話ですw
画期的だったんだよ?!
ユリにメールを返してダラダラしていると右膝あたりの痛みが少しずつ大きく強くなってきました。
「痛い…な。」
空手をやっていましたし、優勝したりしているくらいだったのでかなり痛みには強い方でした。
それでも痛いと感じる程の痛みにはなっていました。
それでもおかしいな?くらいに思って我慢していると、それは収まることは無く、更に痛みを増していきます。
「痛い!痛い痛い!!」
あまりの痛さに我慢できず、その時家にいた祖母に話しました。
「ばぁちゃん!足痛い!!病院連れてって!!」
「あ?足?なんで?」
「分からん!とにかく痛い!!」
「ちょっ…ちょっと待ってろ!?お母さんに電話してみるけ!」
この時より少し前に腰が痛くて病院に行ったら椎間板ヘルニアと分離症という病気だった事が分かっていました。
確かに痛い病気ですが、それでもあまり痛いとは言わなかった俺が我慢できないと言うので祖母はただ事じゃないと仕事に行っている母に連絡を取ってくれました。
「ルクランが足が痛いって言っとる!病院に連れていっていいか?!」
「足?もうすぐ帰るから我慢しなさいって言っといて?」
「我慢出来ん言うとる!」
「本当にすぐ帰るから。」
「……お母さんもぉ帰ってくるから。それまで待ってな?」
「無理無理!めちゃくちゃ痛い!!死にそうなくらい!」
「あー!どぉしたら…腰の病院に行ってみるか?!」
「どこでもいいからお願い!」
ヘルニアの治療に行っていた接骨院に向かいました。
接骨院の人もびっこを引いて歩く俺の姿にただ事じゃないと感じたのか直ぐに見てくれました。
「ルクランはどぉですか?」
「申し訳ございません、うちでは分からないです…直ぐに大きな病院に行かれた方がよろしいかと思います。」
この時は分かりませんでしたが、接骨院ではどぉする事もできないものでしたし、もし病気が分かっていても病院に行かせていたでしょう。
接骨院の方々申し訳ございません…
祖母も困ってしまって直ぐに接骨院を出て家に帰りました。
母はまだ帰っておらず遂に痛みが我慢を超えました。
「痛い痛い!!ばぁちゃん!!痛いよ!」
この歳で空手をやっていて痛みで涙を流すなんて思ってもいませんでした。
「助けて!ばぁちゃん!痛い痛い!!」
「あーどぉしたら…」
「ノコギリでもナタでもいいから持ってきて!!」
「そんなもんどぉすんだ?!」
「今すぐ右足切り落として!!」
「そんなこと出来るか!!」
今考えると物凄く酷な事を言いました。自分の孫の足を切り落とせと。出来るわけありませんよね。
医者でも身内や知り合いの手術は外されます。簡単なものでも。
それでも、そんな事考えられないくらい痛かった。
話はしませんが、ばぁちゃんは多分今でもあの時の事を悔しく思っていると勝手に思っています。
ガチャ
「ただいま!ルクラン!どぉしたの?!」
「お母さん!!足痛い!早く切り落として!!」
「は?!何言ってるの?!」
「痛いから!!お願い!!」
泣きながら足を切り落とせという息子の姿に母はこの時初めてただ事じゃないと気が付きました。
電話で話したのも祖母ですし、俺の様子はほとんど知らなかったので当然ですが…
この時のことを話すと未だに母は、あの時直ぐに連れて行ってやれなかったと自分を責めています。
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