発病

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「すいません!息子が膝が痛いと言ってるんです!ただ事じゃないんです!直ぐに見てください!」 「…少々お待ち下さい!」 俺の様子を見てなのか、こんな反応だったのかここはあまり覚えていません。 痛みのあまり意識が朦朧としていましたので。 とにかく痛い。 直ぐにレントゲンを撮ってくれました。 少ししてから痛み止めを飲み、痛みが和らいできた頃、父も到着して3人で話を聞きました。 「あのー…息子は…」 「レントゲンだけでははっきり言えません。 詳しい事を調べる為にもっと大きな病院、大学病院に行って調べてもらう必要があります。」 「え?!」 「ここでは設備がありませんので。」 「そんな…」 この時にレントゲンをとってくれた病院はそこそこ大きな病院でした。 この街では…ですが。 それでも設備が足りないと言われました。 もちろん直ぐに紹介された大学病院へ連絡してもらい紹介状を書いてもらいました。 「あの…息子は今日は帰っても大丈夫なんでしょうか?」 「…いえ。このまま即時入院してください。」 「…」 紹介された大学病院に行く前に2日程この病院で過ごす必要がありました。 直ぐに車椅子を用意され、それに乗り病室に通されました。 「入院かー…」 体は丈夫でしたし入院なんてした事はありませんでした。 骨折すら体験した事の無かった俺がいきなり入院となるとなにがなにやら… 「大丈夫か?」 「あー。うん。今は痛みはそんなに無いよ。」 「…俺は仕事があるから毎日来てはやれんが大丈夫か?」 「まぁ大丈夫でしょ。大した事ないって。」 「そぉだな。」 父が仕事を休んで…なんて事はありません。病名も分かりませんし、決して裕福な暮らしではありません。 建築関係の職人仕事でむしろ貧乏な暮らしだったと思います。 姉と弟がいて、小さな時に姉が消しゴムを買ってくれと母に頼んだ時に渋る母をなんとなく覚えていますから。 それくらいお金は無かったです。 一生懸命働いてくれている父を貶しているわけではありません。尊敬しいつか追い越したい背中だと今でも思っています。 難しいものですけどw きっと一生追い続ける背中だろうと思っています。 話は逸れましたがそんな家なので仕事を休むという選択肢はありませんでした。 それは分かっていましたし別に休んで欲しいなんて微塵も思いませんでした。 高校二年ですし寂しいなんてこれっぽっちも思いませんでしたから。 そして二人は一旦家に帰りました。 母はトンボ帰りで病院に戻ってきましたが… その後看護師さんに説明された事は痛み止めの薬の話でした。 飲み薬と座薬がある。 座薬が何か分からない人もいるかもしれませんが、簡単に言うと尻の穴から入れる痛み止めの薬です。 飲み薬とは違い直接腸から吸収されるため効き目も強く本当に耐えられない時に使うものです。 使った事の無い人や高校生くらいの人にとっては、えーー……といった感想になると思います。 まぁ嫌ですよね。 恥ずかしいし、そんな趣味無いからーw なんて考えてました。俺も。 でも、座薬の効き目を知っているという事から分かるかもしれませんが、座薬を直ぐに使う事になりました。 「……っ!!」 「ルクラン?大丈夫?」 「いや…痛い…」 痛み止めで寝ていた俺を起こす痛みが右足を襲いました。 痛み止めが切れたんです。 飲み薬の痛み止めを飲みました。 30分くらいで効いてくると言われて額に油汗を滲ませながら待ちました。 15分、30分、1時間。 一向に痛みは消えません。 本当に痛い時、軽い痛み止めでは意味が無いことを初めて知りました。 座薬を使いました。 少しすると痛みが引き始めました。 座薬すげぇ…とか思ってました。 それでも寝られませんでした。 痛くて。 座薬ですら完全に痛みを止められなかったんです。 横になっているとズキズキと右膝を襲う痛みに目が覚めてしまい眠ることが出来ません。 一晩中眠れず痛みと戦いました。 翌日ユリが直ぐに来てくれました。 色々話したと思いますがほとんど覚えていません。 ずっと痛かったので… 結局その病院にいた三日間。一度も眠れませんでした。 数分寝ては痛みで引き戻されての繰り返しでした。
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