女子上司

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 俺は毎日のように上司から怒られている。上司の役職は部長で、ここの営業所では所長の次に偉い。所長はほとんどいないので、ここは部長の天下である。しぶといことに、こいつは今日もまたお腹を突き出すようにして俺の前に立って文句をだらだら言った。部長は薄い髪を隠すように横に撫でつけている、お腹がポッチャリとした50代のおっさんだ。俺は25歳、普通なら仕事が乗りに乗っている年代なのだが、俺は毎朝おっさん上司から説教だ。もう仕事も辞めようかと思う。 「それでね、浅見君、聞いてるかな。こんな営業成績じゃ、会社が赤字だよ」  部長は唾を飛ばしながら顔を赤くして怒る。 「はい、解ってるんですが、なかなか商品の良さが分かってもらえなくて・・・」  俺は、住宅機器の製品を売っている会社で営業の仕事をしている。建築会社とか現場事務所に飛び込みでセールスをやっているのだ。 「それでね、このままじゃ、ここの営業所も危ないから、本社から係長に来てもらうよ」  えっ、係長って、俺が狙ってたのに。このままじゃ昇進もまだまだか。俺は肩を落とした。やっぱり辞めようかな。 「今日、午後になったら酒井さんという女の子が来るからしっかり挨拶するんだぞ」 ん、ちょっと待った。女の子? 「ぶ、部長、新しい係長って女の子なんですか?」 「ああ、年齢は20歳になったばかりだよ。失礼のないようにな」
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