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本当の居場所
「お爺さんとお婆さんが、これで良かったって話してて……なんだか、ただいま♪って言えなくて…帰る場所は、もう無かったんです」彼女は月を見上げるが、我慢していた涙が一粒溢れた…
「…それじゃあ、かぐや姫は…どうするの?どうしたの…?」俺はその話の続き…いや、彼女の話…生い立ちを信じて知りたいと思った。
頭のおかしい人だと思って聞いて下さいと言われて、素直に信じてしまって引き込まれてる俺の方が頭のおかしい奴なんだろう…
いや、今まで何もなく何の感情も特になく生活してた俺の方が、もしかしたら…おかしい人なんじゃないかって…ずっと思ってたからだ…
彼女は気付かれないように涙をぬぐい、こちらを見た。
キレイな瞳で…涙が溢れそうな瞳で…
「ただいまって帰りましたよ♪」そう言う彼女は、きっとその笑顔で扉を開けたんだろう…見て見ぬフリ、聞いて聞いてないフリ…そうして居場所だと思ってた場所を失い…居場所がないまま…
「変な事いうやつだって思うでしょ?」楽しそうに笑う彼女が…今にも消えてしまいそうで、見ていて苦しかった。
あっ…そろそろ日が昇る…
また会えないのかと思っていた俺に彼女は
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