側にいたい…

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側にいたい…

とてつもなく驚いた顔の彼女に、俺は思わずお茶を吹き出しそうだった。 「…湊さん?!!!」そう俺を見る彼女は、動揺と喜びと迷いと…いろんな感情がきっと入り乱れていたと思う。 「すみません…何でか…何ででしょうね…良ければですよ?ただ汚いですよ?俺のアパート狭いですよ?別に変な意味とかも無いですし、カグヤさんといると楽しいし、海に行くなら一緒に行きますし、俺のアパートも近いし、もうちょい話したいと言うか聞きたい事とか知りたい事とか、まぁ…いろいろ(笑)」タジタジな俺に彼女は笑って呟いた… 「…本当に良いですか?」一瞬、何かを言いかけて迷ったように見えた彼女の言葉に、ただ俺は家を片付けないと…それしか考えてなくて、彼女の言いたかった…打ち明けたかった事に気付けなかった。 「これだけで良いの?」ちっぽけな彼女の荷物に俺は驚きながら、初めて女の子を…俺の心の動かされた人が…自分の家に来る事に胸がおどっていた…それだけ、彼女には何もないという事にも気付けなかったし、いつ消えてしまってもおかしくないという事にも気付けなかった… ふと思った…かぐや姫の物語… 求婚を求めた人たちに無理難題を言う所… 「逆に本当に良いんですか…?」言い出しっぺのはずなのに俺は、何か無理難題を言われるんじゃあと不安になった。 「大丈夫ですよ…誰かと一緒に時間を過ごすって久しぶりなんで…あっ、仕事意外でですけど(笑)ココ意外で生活とか少し憧れてたんで♪お邪魔して良ければ…」彼女は、いつものリュックとカバンを持つと俺の手を掴んだ。 離したくない… こんな気持ちだったんだ… 今まで、心が無いと言って良いほどの俺に…私の事、本当に好き?私と一緒にいて、楽しい?もっと一緒にいたいよ…と手を掴み、聞いてきた女の子の気持ちが分かったような気がした。 そして、あんな無理難題を言われても何とかしようとした男の気持ちも分かったような気がした。俺はこんなに容易く…と言ったら失礼になるが、すんなりかぐや姫と同棲しても良いのだろうか!? 本当に夢ではないのか!?という展開に自分自身、追い付いてなかった…けれど、素直に分かる… 俺は彼女の側にいたい…
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