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気遣いと嘘
「湊先輩!彼女いるんですかーーー!?」ヒナは驚いて少し大人しくなったが…
いやいや…俺に彼女がいるって事に、そんなに驚くのか!?
いやいや…彼女って、いないし?!カグヤは彼女になるのか?!
いやいや…俺は、まだ好きだとは伝えてないし!!
待て待て…でも、一緒に住もうとしてるから買い出しに出てる訳で…
待て待て…そもそもカグヤは、何を言ってるんだ!?何を言おうとしてるんだ!?
まさか…!?自分が彼女です!なんて事、言わないよね???!!
それはそれで嬉しいけど…その姿で言われると…完全に俺はロリコンな先輩だと言いふらされてしまう…そんな事がスゴいスピードで駆け巡る俺の予想通り…ヒナは聞いてきた。
「えっと…まさか……」と聞くヒナの言葉に、カグヤがニコッと笑う。
あぁ…仕方ないとはいえ…いや、仕方ないって言い方も悪いか…
もうダメだぁ…
でも、それでも良いのか…?!
俺は、そう思った。
「湊さんの彼女……の妹です♪ほら、急がないとお姉ちゃんに怒られちゃうよ?」カグヤは、可愛く笑うと軽くヒナに会釈し、急に俺の袖を掴んでカートを押して歩き出した。
「じゃあ…」とヒナに軽く手を上げ、あたふたする俺はカグヤとお買い物カートを押す。
変な沈黙…
「なんかゴメンネ…気を遣わせたよね?」とカグヤの方を見るとカグヤは目も合わせず、買い物メモを見ながら呟いた…
「湊さんは本当に嘘がつけない人ですね(笑)こんな優しい人に彼女がいないなんて言われたら悔しいじゃないですか(笑)勝手ながら、私が嘘ついちゃいましたけど、この姿が…存在自体が嘘みたいなもんなんですけどね♪」
嘘…
カグヤは彼女ではないという事なのか…
まぁ、そうなのか…
気を遣った優しい嘘…
存在自体が嘘…
確かに今の彼女は本来の姿ではないけど、それは嘘になるのか…
俺にとっては、姿が変わっても…どちらもカグヤだけど…周りから見たら…確かに、どんな関係なんだと聞かれてもおかしくはないのだ…
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