かぐや姫と波の音

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かぐや姫と波の音

何もない自分だけど、別に気にしてない… そんなもんだろ?ぐらいな… 友達にすっぽかされても、まぁ別に…LINEで悪い出れなくなったわーぐらいに気にしてたら生きてけない。 せっかくだから、まぁ…1人でもやってみるか…どーせ何もないんだし、そんな感じだった。 彼女は、何故…海にうつる満月を見て泣いていたんだろう…でも、俺も吸い込まれそうになるほど今日は綺麗な満月だと…海にうつる満月を見ていた。 「待ち合わせですか…?自分は、すっぽかされて(笑)というか、ドタキャンされたんですけど(笑)」と沈黙が気まずくて?それとも、もっと彼女と話してみたくて? いや…彼女の声を聞きたくて 彼女をほっとけなかった… 「いいえ…今日は満月なので、もしかしたら月の階段が見れるかと思って…」そう海を眺め俺を見る事なく彼女は呟いた。 「…月の階段??」その瞬間、釣具がバラバラと落ちる…ちゃんとチャックを閉めてなかったらしい…恥ずかしながらに拾い集めていると白い彼女の手が見えた。 「綺麗な満月の日に海に月明かりがうつるでしょ?あれが少しだけ波にゆれて繋がって、まるで月に続く階段に見える事を言うんだって♪」楽しそうに教えてくれる彼女は、俺の釣具を一緒に拾ってくれた。 「そうなんですね…でも、気を付けないと…女の子が1人でいるのは危ないですよ?」と言う俺に彼女は笑顔で 「今は1人じゃないから、大丈夫でしょ?」と意地悪に笑った。 満月に引き込まれそうになるように、俺はその笑った顔に引き込まれた。 一目惚れなんて信じない…愛とか恋とか興味ない…生きてる上で必要なのかも分からない…そんな自分が何故か引き込まれた。 「名前を聞いても良いですか?てか、自分も言いますし?暇なんで、もう少し話します?」珍しく自分から話しかける。 自分でも不思議だった…基本、自分から話さないのに… 「私…?あぁ、えっと…うーん、かぐや姫で良いよ♪」そんな突拍子もない回答に俺は困った…自分から正直に自己紹介した後だったのに、何かはぐらかされたようで、バカにされてるようで… それでも、何故だろう…まだ話したかった。 すると、彼女から話始めてくれた… 「ねぇ…もしも期限があるなら、何がしたい?何がやりたい?」初対面なのに、そんな変な質問に俺は答える。 「……特にないかな」けっきょく、その程度の生き物の考えで、それが俺… 「私も見つからないの…でも、もったいないよね…だからね、今日は月の階段を見に来たくて来たの」そう眺める彼女の横顔は綺麗だった。 「じゃあ…ついでに、釣りする?したことある?」そんなロマンチックも欠片もない言葉にカグヤはキラキラした瞳で頷いた。 「自分もさぁ、よく分からないんだよね(笑)こんな感じかな??」とカグヤに竿を渡す。 不思議だ…今日、初めて出会った人と一緒に釣りをしてる。 互いに釣りを知ってる訳でもなく…もしかしたら、場をつなぐという意味で付き合ってくれたのか…俺がそうしたかったのか…
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