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「今日は満月ね」
薄い雲が、輝く月に掛かる夜。
カーディガンを羽織って外へ出ると、足元の草陰ではコオロギ科のシバスズかマダラスズがジーッと鳴いています。
私がうつりゆく季節の風を肌に感じていると、ねこじゃらしを興味津々で嗅いでいたタロウがこちらに駆け寄ってきました。
「元はひとりぼっち同士。これからは一緒に残りの人生をゆっくり過ごしていけたらいいわねぇ」
しゃがんでそっと頭を撫でると、タロウは「よろしく」というように私の頬を舐めていました。
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