秋雨と土の匂い

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チコさんのお知り合いからの依頼で、スーツのズボンのお直し。 破れてしまった部分やほつれた糸を始末して、サイズアップの為に布を足しています。 「あともう少しね」 あと少しとなると、気付かぬ内に手元が急いでしまうものですが、そんな時こそ1度手を止めて深呼吸します。 窓の外の庭に目を向けると、霧雨の小さな雨粒に濡れたハートの形の葉をもつカタバミや、私の育てるハーブ達が、生き生きとしているように見えました。 そうして心を落ち着かせてから、再び針を手に取るのです。
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