繕い屋フィレール

ハーブティーとボサノバの午後

「あ、タロウ！あまり遠くに行っちゃ駄目よ」

ステビアとレモンバームの収穫をしている間、タロウは丘のお散歩をしていたのですが、その後ろ姿もあっという間に小さくなっていました。

「ほら、そろそろお家に戻りますよ」

その声にこちらを振り向いて耳を立てたタロウは玄関のドアを開けると、向かい風と勢いで表情がぶわっと変わるほどの全速力で駆けこんで来ました。

「もう。そんなに慌てなくても閉め出したりしないわよ」

荒い息遣いのまま足を拭いてもらうのを待つタロウを見ると、何をするにも全力なその姿に笑いがこみあげてくるのです。

収穫したハーブの入ったカゴを置いて、タロウの足を丁寧に拭いてやると、そそくさと居間に置いてあるお水を飲みに行ってしまいました。

さて、これからハーブティーを作ろうと思います。

今日は近所にお出掛けです。