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―刀匠ギールの店― 「おう、らっしゃい!…って、そいつぁ剣魂石じゃねぇか!」 白ひげのおじさん…ギールさんは僕の右手に握られた石を見て驚きの声を上げていた。 「この石を知ってるんですか?もしかして…何か見に覚えがあるんですか?」 「おうよ…何せこの石には文字通りの魂が宿ってるんだ。だからよ、俺たち刀匠の間じゃかなり高値の素材として取引されてるってこったぁ!」 ギールさんは喋りながらも鉄を打っていた。 「実はこの中に僕の大切な人が閉じ込められてるんです。どうすれば元に戻るんですか?」 「そんなの簡単な話だぁ…またその石から剣を作ればいいんだ。だが、剣と別の生き物の姿を持つ個体が閉じ込められてるなら、刀匠の腕次第だ。」 「お願いします……彼女は…ミリアは…僕にとって大切な人なんだ!」 「そうか…ならば、その石を俺に預ける形でいいんだな?」 ギールはまるで陽輝を試すかのように見ていた。しかし、数秒待たずして陽輝は頷き、その石を渡した。 「せっかく貴重な剣魂石を打たせてくれたんだ…お前さんに、いいことを教えてやるよ。」 ギールは槌を置き、剣を冷却水の入ったバケツに入れると、椅子に腰かけて〈王家に伝わる聖剣〉について語りだした。 その話の中には前にテウザードさんから聞いたことのある詞がいくつか出てきた。 そして、さっき倒した黒い剣士たちの狙いがうっすらと見えてきた。 敵の狙いは間違いなく〈聖剣〉だ。でなかったらこんなところをいきなり予告なしに襲ったりしない。 ―その日の夜・陽輝の部屋― 僕は大浴場で軽く湯船につかった後、部屋に戻って椅子に座って空を見ながら、〈聖剣〉がどんなものなのか考えていた。 「〈聖剣〉を手に入れたとして、僕はどうしたいんだろう…僕は強くなりたいわけじゃないんだ。ただ、体が弱い僕でも生きていけるんだってことを証明したいだけなんだ。…姉さんや友達に『僕は大丈夫だ』って言えるくらいに。」 …そうじゃないと、いつまでも自分が弱っちぃ人間なままなんて、そんなの嫌だ!
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