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「お前さんは強くもあるし、弱くもある。だからここまで来れたんだ。その目を見てすぐに分かったさ。お前さんの目は〈確かな自信と決意〉に満ちた目だ。だからよ…女子を救えなかったなんて思っちまったら、ダメだぜ。」
「ギールさん……。」
そうだ、僕はこれまでにたくさんの人を助けてきたんだ。そして、自分の弱さを何回も呪っては乗り越えてを繰り返してきたじゃないか!
その僕がたった一回、それも他種族に負けたくらいで凹んだら……ミリアに笑われるよね。
ミリアならこんなとき、何て言うんだろう?
陽輝はふと赤い剣魂石に目を向け、その石に閉じ込められたミリアを想ったのか、大粒の涙が溢れだした。
「っく……ごめんね……ミリア、ごめん。僕が……僕がっ……」
陽輝はこの時、胸の中にはすっかり悔しさが溢れて、弱気になっていた。
―その後、リィズム王城―
「がはははははっ!王女様ぁ、お迎えの時間だぁ!さぁ、俺を虹の祭壇に案内しろぉ!さもないとこの城全部ぶっ壊すぞぉ!」
城では、ラズリートがあっという間に兵士を薙ぎ倒し、今まさに王女を拐う手前まで来ていた。
「お願い、お父様とお母様だけは手を出さないで!祭壇まで案内しますから、これ以上私の大切な人を傷つけないで!」
ナナリィは今にも泣きそうな声で必死に懇願した。すると、ラズリートは笑顔で彼女を抱えると、そのまま城のベランダから飛び降りた。
―祭壇への道―
「こっ、この道を道なりに行けば、あなたが求めている〈虹の聖剣〉の眠る祭壇へ辿り着きます!」
「がはははははっ!そうかそうか、ならば話は早い、お前も来るのだ!何でも王族の者でないと祭壇の封印は解けないみたいだからな!あのガキもいない…邪魔が一切無いんだ…後はお前がしくじらなければいいだけなんだよぉ!」
「ひっ……!」
(助けて、陽輝さん……)
「あぁ、そうだ…お前がご執心の陽輝とか言うガキは来ないぜ。あれだけ大ケガしてれば、再起は無理だろ。再起したところで、俺の相手じゃねぇ。じゃ、行くぞ。」
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