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そんなの…
忘れられるわけがない。
「俺、ずっと、桃香に会えたら言おうって
決めてたんだ 」
俺は、胸ポケットからリングケースを取り出した。
「桃香、結婚しよう。
俺、桃香と誠と三人で幸せになりたい。
っていうか、俺が必ず幸せにするから。
だから、結婚しよ？」
「だって…
優くんは、将来がある人で…
だから、私が邪魔しちゃいけなくて… 」
桃香はまた困った顔をした。
「将来があるのは桃香だって同じだろ？
誠なんて、それ以上に無限の可能性を
持ってるよ。
だから、俺は、桃香と誠を守っていく。
だから、桃香、一生、俺のそばにいて。」
俺は、誠を抱く桃香を横からそっと抱きしめた。
「もう俺のこと嫌いになったなら、この手を
振りほどいて逃げて。
じゃないと俺、まだ俺のこと好きでいて
くれるって勘違いするよ？」
抱きしめられて一瞬強張った体から、ふっと力が抜けた。
「バカ……
嫌いになれるわけないじゃない。」
桃香は俺にそっと身を預けた。
よかった！
俺は、腕を解いてリングケースを開いた。
これは、留学終了直前、帰国したら、なんとしても桃香を見つけ出してプロポーズしようと向こうで購入したもの。
俺は、指輪を取り出し、誠を抱いたままの桃香の左手の薬指にはめようとして気づいた。
「これ… 」
そこには、桃香が消える前日に、俺が贈った指輪がはめられていた。
「これ、私の宝物。
辛い時とか、苦しい時はいつもこれを見て
頑張ってきたの。
だから、優くんはいない間も、ずっと私を
支えてくれてたんだよ。」
そう言って笑う桃香はとても強くて綺麗で…
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