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「氷室さん・・・・いつから?」
「ん?」
「いつから私との結婚を考えてくれたんですか?」
「・・・・・・・・そうだなぁ。」
首を傾げて俺の顔をじっと見る彼女。
髪をゆっくり撫でながら、その質問の答えを少し考える。
「付き合いだして、わりとすぐに。漠然と。」
「・・・・・そんな前から?」
「ん。」
「・・・・・。」
「元旦に晴れて初日の出が見られたら、プロポーズをしようと決めていた。」
「・・・・・そうだったんですか。」
「クリスマスあたりから、俺、マジで緊張しっぱなしだったよ。」
「・・・・気がつきませんでした。」
「ハハッ、それは良かった。でも・・・・。」
「・・・・・?」
「・・・どうしても、おまえが俺のものだって証が欲しかったんだ。」
目を細めて微笑む彼女の頬には、俺の気持ちを掴んで離さない、可愛いエクボがあった。
「氷室さん・・・・・ありがとう。」
「・・・・・ん。」
彼女が呟いた「ありがとう」の意味はきっと深い。
一年の始まりのこの日、彼女の未来を、そして俺の未来を、大きく変える選択をした。
そこに迷いはなかった。
何よりも、それが嬉しかった。
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