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「はぁっ・・・・んっ・・・・。」
膝の裏を持ち上げその間に入り込むと、彼女は両腕を宙にさまよわせ、俺を探した。
「いくよ?・・・・・ユリ?・・・。」
「ぁあっっ・・・・・。」
その瞬間。
必死にしがみつくように、俺の背中へまわした腕が大きく震えた。
「やっと、俺のものにできた・・・・・。」
夢中で手に入れた。
彼女を包み込むように愛したいと願った夜なのに、すべてに愛され癒されたのは、俺の方だった。
その瞳に滲む、涙。
白い背中も、細い首筋も、俺を狂わせる。
彼女の溜め息に似た吐息も、肌を撫で上げるたびに聞こえる衣擦れの音も、記憶にのこしておきたくて。
でも、消えてしまいそうに儚い彼女を、今この瞬間繋ぎ止めておくのが精一杯で。
愛しくて
愛しくて。
彼女をこの腕に抱きながら
俺は間違いなく、本当の幸せを知った。
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