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今頃小野寺はユリに遠藤のことを紹介してるに違いないけれど、当のユリはコロコロ気持ちを変えるような人間じゃない。
彼女の俺に向けられた心は、本物だと信じている。
バレンタインの夜、彼女を初めて抱いた。
この腕の中で乱れた白い肌が
貪るように求めた紅い唇が
柔らかな髪が
涙を溜めた瞳が
俺のすべてを受け入れてくれた。
ずっと大切にしたい・・・と思った。
今は誰も二人のことを邪魔出来ないほど、お互いがお互いを必要としている実感がある。
一人自分の部屋で連絡を待ちながら、ぼーっとユリのことばかり考えていた。
どれくらいたったのか、ソファでウトウトしていたらユリからメールが入っていた。
『氷室さん、本当にごめんなさい。 今日はそちらへ行けなくなりました。』
そっか・・・ 残念だけどしょうがないな・・・
まあ急がなくてもいいや、今度渡すか・・・
すぐに「わかった、また今度おいで。おやすみ」と返信する。
この短いメールに不安を覚え、その夜彼女が眠れなくなるなんて、俺は思ってもみなかった。
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