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「はよ。」
「おはようございます。あの、昨日はごめんなさい。」
翌朝、俺が電車に乗り込むなり、待ち構えたようにユリが謝ってきた。
「ん、いいよ。誘うのも急だったから・・・・具合が悪くなった訳じゃないんだろ?」
「はい。えっと・・・実は・・・。」
ユリは昨夜の外商2課の飲み会に行き、普段より飲み過ぎて酔ってしまったことを話してくれた。
それでも俺の家に行こうと駅までは歩いたけれど、覚束ない足どりを心配した遠藤が追いかけてきて、自宅の前まで送ってくれたという。
カクテルが美味しかったことと、普段会わない人との会話が楽しかったことで、ついつい酒がすすんでしまい、結果俺と会えなかったことに落ち込み、反省してたらしい。
彼女は「せっかく誘ってくれたのに」と何度も繰り返し、項垂れた。
「ん・・・そっか。」
「ごめんなさい。怒りました?」
「ハハッ、何で?おこんねぇよ。」
シュンとしているユリが可愛くて、ここが電車内だということも忘れ彼女の髪を撫でる。
「ユリに、会いたかったけど・・・」
そう言うと、彼女は恥ずかしげに微笑んだ。
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