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「話はわかったよ。・・・でも心配だから、今度は飲みすぎないで?」 「・・・・・・はい。」 俺は髪を撫でていた手をポケットへ戻すとき、わざと彼女のエクボを掠めながら下ろしていった。 駅のコンコースを歩いている途中、背後に小野寺の声が聞こえた。 周りを気にしない大きな声で、ユリに話し掛けているのが俺の耳に届く。 詳しく聞かなくても奴の言いたいことがわかって、俺は呆れながら会社への道を急いで歩いた。 まったく小野寺のやつ・・・ お人好しにも程がある・・・ 俺のユリに変な話すんなっつうの・・・ その日の昼頃、突然ユリからメールが届いた。 『今日、氷室さんのお家に行ってもいいですか?』 画面を見て、思わず天を仰ぐ。 「あー、何で今日なんだよ・・・。」 20日〆の伝票を処理するには、今日がタイリミットだ。昨日粗方処理するはずが、雑貨店から電話があったために仕事を途中までで切り上げ、帰ってしまった。 残業は免れない日なのに、そんな日に限って珍しくユリからメールがくるなんて。 『今日は残業がある、ごめん』 そう返信しながら、ユリの寂しそうな顔が目に浮かんだ。
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