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「氷室さん、怒ってると思ってました。」 「ん?」 ソファに二人で並び、俺の肩へ引き寄せられていた彼女が、急に顔を上げて思い出したように言った。 自分がユリの前で怒りを露にするなどあり得ない。 一応記憶の糸を辿ってみるが答えは出ない。 「今朝もそんなこと言ってたな。・・・どうしてそう思うの?」 「・・・ナオミちゃんに言われたんです。普通、男ばかりの飲み会に彼女が行ったら嫌がるよ、って。氷室さんはよく許したね、って。」 「は?・・・・・許すも許さねぇもねぇだろ?何で俺の許可が必要なんだよ。・・・んなことで俺が怒ってると思ってたの?」 「・・・・・はい・・・・・あと・・・私がお酒を飲みすぎて、結局遠藤さんに家まで送ってもらっちゃったし。」 「ハハッ。・・・まあ・・・正直それは妬けるけど、大事なユリを送ってもらったんだから、むしろ礼を言いたいくらいだな。」 「・・・・・。」 その話を聞いて、昨日から今日にかけての二人の気持ちがすれ違いかけていたことに気づく。
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