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俺はただ彼女の喜んだ顔が見たくて会いたがっていたのに、ユリはそうではなかった。
そうか・・・
ユリは俺が怒っていると誤解してたのか・・・
だから、何時間もあんな寒いところで俺のことを待っていたんだな・・・
そんなことくらいで、怒るかよ・・・
まったく・・・可愛いやつめ・・・
「ユリ、この際だから言っておくけど、俺はユリを縛りたくない。・・・そして俺も縛られたくない。俺はユリを信頼してるし、ユリのまわりの人も信頼してる。ユリにはユリの、俺には俺の、仕事や付き合いがあるからお互いに束縛しないようにしよう?」
「・・・・・・・。」
「わかった?」
「・・・・・・・はい。」
彼女は俺が微笑みかけると、ホッとしたようにエクボを見せて、小さく頷いた。
再び肩にもたれ掛かるユリの髪から、シャンプーの香りが鼻をくすぐり、俺の胸の奥を鷲掴みにされる。
このまま時間を忘れ、自分の中ががどれほどユリでいっぱいなのか永遠と聞かせてやりたい、と思った。
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