38

3/3
前へ
/194ページ
次へ
「あ・・・・・でも、そういえばあの慰労会のお話があったとき、氷室さんが少し怒った顔をしてて・・・。」 「んー・・・それは小野寺に怒ってた。」 「小野寺さんに?」 以前ユリのことを好みだと話した遠藤と、そのユリとの仲を、小野寺がどうにか取りもとうと目論んでいたことを話した。 「あん時、ユリを飲み会に誘ってる魂胆が丸見えで・・・コノヤロー、ユリは俺のだーってムカついた。」 「ふふっ。・・・・・俺のだーって?」 「ん。ユリは、俺の・・・・・だろ?」 「・・・・・はい。」 彼女は睫毛をふせて、ゆっくりと頷く。 俺はその頬にそっと触れて、なるべく優しく誘い、とびきり甘く溶けるような視線で至近距離から瞳を見つめ、ゆっくりと唇を合わせていく。 ついさっき玄関で交わした、乱暴で切羽詰まったそれとはまったく違うキス。 ユリは目を閉じて、受け入れる。 時々頬や瞼にも口づけすると、恥ずかしそうに顔を背ける彼女。 「だめ・・・・ちゃんと俺を見て?」 そうしたら・・・・ 不安になんかさせない・・・ だからいつでも俺を見ていろよ・・・ 絶対に・・・幸せにしてやるから・・・
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4423人が本棚に入れています
本棚に追加