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『明日から1週間の出張です  しばらく連絡出来ないし会えないけど  氷室さんにもらったキーホルダーをお守りにして  頑張ってきますね』 彼女はこのメールをくれた翌日から1週間の予定で、新入社員の事前研修へ出掛けた。 当日の朝は、彼女の出発が早かったために同じ電車に乗ることもなかったが、不思議と寂しくなかった。 『キーホルダーをお守りにして』か・・・ 俺も頑張るよ、ユリ・・・ お揃いで持っている、小さなキーホルダー。 片手で握ったら隠れてしまうほど小さな物体が、今は大きな存在だった。 離れていても、二人が同じものを持って過ごしている・・・・・それだけで繋がっていると思えるから不思議だ。 ユリへ渡した俺の部屋の合い鍵は、未だ使われたことがない。 渡した直後から昨日までの仕事が終わって帰るとき、角を曲がってアパートの窓が見える一瞬、毎日淡い期待を持っていた。 あの窓に灯りがついていたら、彼女が部屋で待っていて「おかえり」と言ってくれたら、どんなに嬉しいだろうかと。 しかし、ユリにそれを要求する我が儘を言える訳もなく、ただ真っ暗な窓を見ながら帰宅していた。 彼女には彼女の仕事があり、正直「会いたい」と思っていたが、それを言ってはいけない時だと、仕事に正面から打ち込む彼女を心の中で応援した。
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