4423人が本棚に入れています
本棚に追加
「コーヒーを一杯だけ飲んで、帰りなさい。・・・送っていくから。」
肩を抱いて、ソファへと誘導する。
「いえ、まだ電車があるので帰れます。」
「ユリ・・・今日ぐらい俺に甘えろよ。俺もユリが来ると思ってたから、元々送っていくつもりだったし。」
「・・・はい。・・・じゃあ。」
「遠藤が?」
コーヒーを淹れ、二人で飲みながら、出張中にあった出来事を聞いていた。
「はい。急に『寂しくないか』って。」
「ふーん・・・。」
遠藤の言葉の真意が分からず、気のない返事をしながらコーヒーをひと口飲む。
「それで?ユリはなんて答えたの?」
「ええっと・・・寂しくない、と。」
「うわ!ショック・・・。」
わざとらしく片手で顔を覆い天井を見上げる仕草をすると、ユリはくすくす笑いだした。
手を外し横目で彼女を見ると、俺も我慢しきれずに笑った。
「私、遠藤さんに言ったんです。・・・彼とは何となく繋がってる気がする、って・・・だから寂しくない、って。」
「・・・・・。」
静かに肩に腕をまわし、ゆっくりと引き寄せると、ユリは気持ちよさそうに目を閉じ、俺にもたれ掛かった。
最初のコメントを投稿しよう!