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「俺も同じだった。」
「同じ?」
「変な意味じゃなく、寂しいとは思わなかったな。」
「・・・・・。」
「ユリはユリの仕事を頑張ってて、俺は俺の仕事をやって・・・・今いる場所は違っても帰る場所は俺の所だから、待っていればユリに会えるって・・・。」
「氷室さん・・・。」
「キーホルダーやカップなんか見て、『今ごろユリは頑張ってっかな?』なんて一人でニヤニヤしてた。」
「ふふっ。」
「寂しくはなかったけど、会いたかったな。」
「わっ・・・・同じことを私も遠藤さんに言いました。」
「・・・・・ヤバイな。」
いつもそうだ。
彼女は俺が欲しがるものを、いや・・・それ以上のものを、当たり前のように、簡単に、惜しみなく与えてくれる。
考えてみれば、もう俺の中はユリでいっぱいだ。
他の何も入り込む隙間がないほど、自分の思考の全てが彼女に繋がっている。
誰かと生きる未来が、俺にもあるとしたら。
同じ道を歩いてくれる、誰かがいるとしたら。
ユリを、幸せにしたい・・・
俺のこの手で・・・
俺はこの頃から
二人の「未来」を意識し始めていた。
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