42

1/3
前へ
/194ページ
次へ

42

俺が彼女との「未来」を意識し始めてから、数ヶ月が経過した。 ユリがその事をどう思っているのかわからない。 しかし俺は、少しずつ行動に移していた。 彼女との交際が始まる前より格段に、俺は仕事へ真摯に向き合っている。男として、自分に出来る範囲で結果を残し、彼女の一生を任されるに相応しい人間になりたかったからだ。 それほど、ユリを大事に思っていた。 この数ヶ月、二人の関係は順調だった。 お互い忙しい中でも時間を見つけては食事をしたり、毎日の通勤電車や短いメールのやり取りで気持ちの繋がりを感じたり。 特にこのところのユリは新規にオープンする店舗への応援勤務で多忙を極め、ほとんど会えない状態だったが、お互いがお互いを理解し合っていたと思う。 付き合い始めた頃よりも今のほうが、気持ちが大きく、そして深くなっていた。 もはや「好きだ」という言葉では伝えられないほど、もっと特別な感情。 だからこの関係が壊れることなど、全く考えもしなかった。 「あの時」までは・・・・・
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4423人が本棚に入れています
本棚に追加